「受賞」磯野舞奈(学部生)卒論発表会優良賞
磯野舞奈さん(学部4年生)が、卒業論文発表会において優良賞を受賞しました。
卒論題目:
大気圧低温プラズマによる透明導電性ZnO薄膜の作製
卒論概要:
近年、酸化インジウムスズ(ITO)薄膜は、主に太陽電池やディスプレイデバイスの透明導電膜として使用されています。しかしながら、原料となるインジウムは希少金属であり、特定の産出国からの輸入に依存しているため、安定供給に懸念があります。また、インジウムおよびその化合物は第一種指定化学物質に指定されており、人体や地球環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。一方、亜鉛は比較的安価で無毒な材料であり、電気炉の粉塵からの亜鉛のリサイクル方法が確立されているため、安定的に供給されています。
そこで本研究では、アルゴンガスを用いて開放下で低温プラズマを発生させ、大気圧低温プラズマCVDによってZnO薄膜を作製しました。プラズマ中に水蒸気を混合した場合、作製したZnO薄膜の電気抵抗率を低下させることができました。これは、プラズマガスに水蒸気を混ぜることで、プラズマ中の水蒸気から水素ラジカルが生成され、粒界でぶら下がっている結合が終結し、結晶粒界での結合ひずみが緩和され、そのため、薄膜全体が粒界の少ない連続構造微視組織となり、キャリア電子の移動度を高め、電気抵抗率を低下させることができると結論しました。この研究結果は、2024年9月に開催される国際会議The 14th International Symposium of Applied Plasma Science (ISAPS2024)において発表します。
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本人のコメント:
3年生の後期から本課題の実験研究を続けてきました。卒論発表会での今回の受賞は大変うれしく思います。アルゴンの大気圧低温プラズマの発生、また、それを応用して大気圧開放下で薄膜を作製する方法そのものが一般的には無く、全くの新規の方法であり、世界にも前例が無いため、実験を進めるにあたってはかなりの部分を実験結果の検討と予想とによって進めました。薄膜工学における青色LEDの開発?日本人のノーベル物理学賞には結果が及びませんでしたが、新規薄膜作製方法に関する改善のアイデアがますますわいてきています。大学院に進学してより良い研究結果が得られるように頑張りたいです。
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