工学研究科博士前期課程 佐藤結香、磯田恭佑 講師らの研究が、Wiley-VCH社の電子ジャーナル”Chemistry An Asian Journal”のCover Featureに選出されました。
2018年9月17日に、Wiley-VCHとACES(Asian Chemical Editorial Society)より刊行された”Chemistry An Asian Journal”誌に、佐藤結香(香川大学大学院工学研究科材料創造工学科 修士課程2年)および磯田恭佑(香川大学創造工学部創造工学科先端マテリアル科学コース 講師)の研究論文が掲載され、本誌のCover Featureに選出されました。
佐藤さんおよび磯田講師は、N-Heteroacene分子を基幹骨格とした室温で液体状態である光機能性液体材料の合成に成功しました。一般的に、N-Heteroaceneは非常に融点の高い固体材料として得られますが、分子構造を設計することで、液体として得ることに成功しました。(Chem. Asian J. 2018, 13, 2619-2625.)
この液体は、塩化水素などの酸性物質と混ぜることで、その発光色を青色から緑色や橙色などへと大きく変化させることが可能です。つまり、今回開発したN-Heteroacene型の光機能性液体は酸などの刺激に応答して、その性質を変化させることが可能な「刺激応答型室温発光性材料」として、機能することが明らかとなりました。
これまで、発光性室温液体はいくつかのグループにより報告されておりますが、刺激応答により発光色を大きく変化させることができる材料はあまり例がありません。また、材料自体が液体であるため、有機溶媒を用いない環境低負荷型の塗料として使用することが可能です。さらに、紙等に印字するためにインクとしても使用することが可能であるため、近年問題となっている紙幣の偽造防止等にも使用可能ではないかと考えています。
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https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/asia.201800999