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審査委員の講評

最優秀賞 「現代?未来の世代で『自助』『共助』『公助』」

香川県教育委員会教育次長 吉田 智

 清政虎太郎さん、最優秀賞おめでとうございます。
 近年、「異常気象」とされる自然災害が多発しています。異常気象とは、気象庁の定義において「三十年に一回起こる程度の珍しい気象」だそうですが、毎年夏を中心に何度も聞く言葉です。もはや、異常気象の定義さえも変える必要があるのかもしれません。気象に関する用語や避難の必要性を示す用語も新たに整えられましたが、本論文中にあるとおり、私たち一人ひとりがその意味するところを理解しているとは正直言い難いと思います。自然災害の発生リスクが高まる中、人々が身を守るための行動をどのようにとるべきなのか、その基準が分かりにくいとは。これほど大量の情報を簡単かつ迅速に得ることができるようになった時代なのに。
 本論文は豊富なデータを的確に用い、自然災害発生時における人々の避難行動についての意識を明らかにしたことで、課題が具体的に示されています。その解決方法として、中高校生が防災士養成研修講座を学校で受けるようにし、行政はその受講料を負担するということを提唱しています。自助の力を公助により高め、そうして得た力を共助につなげる。各主体が少しずつ力を出し合い、集団としての防災能力を高める具体的かつ現実的な、そして課題を高校生である自分の目線から解決を図る方策です。地に足の着いた、とても現実的な提案であり、「なるほど、それならば」と納得できる内容です。
 私たちの身の回りにはたくさんの社会課題があります。その地域特有の課題もあれば人類共通の課題もあります。こうした課題の解決には、何か新しい技術や知識が必要なように思われがちですが、既存の知識やシステムを組み合わせることで革新的な解決方法を作り出すことが可能な場合があります。また、身の回りの課題の解決に取り組むことで、これまで気づかなかったことを認識することができる場合があります。高校時代に、その柔軟で自由な発想で、身の回りの課題を見出し、解決方法を考えてみてください。その経験そのものが、大きな学びとなるはずです。最優秀賞を受賞された清政さんをはじめ今回の懸賞論文に取り組んだ皆さんが、今回の経験を生かし、新たな課題の発見と解決方法の考察に挑戦していくことを期待しています。 

優秀賞 「夏の地震に備える」

香川県教育委員会教育次長  吉田 智?

 佐藤早和子さん、優秀賞おめでとうございます。
 当たり前のことですが、地震はいつ来るものか分かりません。本論文にあるようにどの季節に発生するのか、また、日中なのか夜間なのかが「分からない」ことを「分かっている」つもりであったことに、この論文を読んではっとしました。自分が「分かった」つもりになっていただけで、本当に分かった上での備えが自分もまたできていませんでした。我が家の装備も、冬の災害に備えたものになっていました。早速、季節ごとに入れ替えを行うこととしました。
 このように、分かった「つもり」のことに着目し意識変革を促すことは、何でもない事のように見えて実は革新的な発明をする事に匹敵する価値をもつことだと思います。この論文では、その気づきのうえに夏という季節ならではの課題とそれに対する解決策を個人と自治体、それぞれの役割を踏まえ提示しています。課題設定が具体的であるため、解決策も具体的であり、また、これならばすぐにでもできるということばかりです。逆になぜこれくらいのことがこれまでできていなかったのか、と思ってしまいます。
 昨今の夏の猛暑に対する備えとしてエアコンは不可欠ですが、避難所となる学校の体育館の空調設備は整備途中です。早急な対策が望まれます。しかし、エアコンの整備さえすれば熱中症を防ぐことができるわけではなく、更に細やかな配慮が必要であるとの問題提起がなされています。事前に課題が分かっておれば、対策を講じておくことができます。備えあれば憂いなし、ただ、何に備えなければならないのか、十分に想像力を働かせて課題を明らかにしておく必要がある、そう気づかせてくれた論文です。
 同様の「気づくべき事」が私たちの身の回りにまだまだあるような気がします。

優秀賞 「包摂的な社会の実現に必要なこと」

弁護士 本嶋 孔太郎

 佐藤怜さん、優秀賞の受賞、おめでとうございます。
 本作品は、高校生活における制服や校則を起点に「包摂的な社会」を考察している点がとても印象的であり、実践的なアプローチも興味深いものとなっています。具体的には、「ルールメイキング」という手法を用いてワークショップや試作制服の作成を行う中で、多様性の尊重を単なる理念として示すだけではなく、「誰の意見をどのように取り入れ、どのように意思決定を進めるのか」というプロセス自体が重要であると体験的に理解している点が秀逸です。結果として女子の制服デザインを複数導入するに至った一方、第三者視点での所属の分かりづらさといった新たな課題が浮上したことからも、多様性の尊重が決して容易ではなく、継続的な議論やトレードオフが必要なものだと学べたのではないでしょうか。
 私自身、30歳の弁護士としてスタートアップや政策立案を支援する中で、「意思決定の形」よりも「意思決定にいたる過程」の大切さを痛感してきました。実際、国の政策づくりや法改正を議論?実装するコミュニティ「RULEMAKERS DAO」を立ち上げ、対立する意見を単に集約するのではなく、仮説検証を重ねつつステークホルダーを巻き込み、コミュニティとして合意を形成していくプロセスこそが民主主義を真に機能させる鍵だと感じています。本作品でも、高校という「最小単位の社会」でルールメイクを実践し、その難しさと意義を早い段階から体感されている点に感心します。
 また、民主主義の対象が拡大するほど、多くの人が国政や地域活性といったテーマを自分事化しにくいのが現状です。しかし、自分の学校や制服のように身近なテーマであれば、自分事として理解しやすく、具体的なアクションにも移しやすいはずです。そうして培われたルールメイクの経験は、今後、地域や国全体の政策づくりへと関心を広げていく大切な土台になるでしょう。まさに、本作品は民主主義の入口としての大きな意義を持つ取り組みだと思います。
 今後は、この貴重な体験をさらに発展させ、より広い社会へと視野を向けて、多様なステークホルダーとの対話とアクションを進めていただきたいと期待しています。 。

優秀賞 「若者の孤独の解消に向けたツール開発の提案」

弁護士 本嶋 孔太郎 

 床田雅弥さん、優秀賞の受賞、おめでとうございます。
 本論文は、若者の孤独や自殺問題を解消するための、小さな会話(small talks)を促す独自ツール「Talkn(talk + token)」の開発?普及をテーマとしています。若者の死因として依然として自殺が最多であるというデータに基づき、問題の根底にある「誰にも相談できない」「人と繋がりにくい」という孤立感に着目した点は極めて鋭い視点だと感じました。加えて、実際に輪ゴムを使った簡易的な実証実験を行い、アンケート調査を通じて得られたデータを検証材料として活用し、さらに課題を抽出できている点も高く評価できます。自ら仮説を立て、お金がかからない形で、実験やアンケートを通じて検証し、新たな改良点や収益化の可能性に触れている姿勢は、スタートアップ志向のプロジェクトに欠かせないプロセスであり、完成度の高さを感じました。
 私自身、弁護士として学生起業やスタートアップの支援に携わってきましたが、近年注目されているのは、ただ市場でお金になる事業、直接的に課題解決を行う事業をやるではなく、「身の回りの具体的なニーズを解消するところから、価値を創造し、結果として課題解決がなされる」という形です。本論文の提案も、声をかけたい側?かけられる側それぞれの気持ちを可視化し、両者のニーズを同時に満たそうとするアプローチから、それによって新たなコミュニケーション、繋がりという価値を生みながら、最終的には孤独、自殺という課題が解決されるような状況を作る、大きな社会的インパクトもあり得る素晴らしいアイディアです。
 さらに、AIやオープンソースのプロダクトを活用すれば、簡易にMVP(実用最小限の製品)を作ってしてユーザーの反応を見ながら改善し、社会実装させていくことも可能なようなものだなと思います。
 本論文は、論文の域に留まらず、若者の孤独問題と真剣に向き合いつつ、現代の高校生らしい柔軟な発想と実行力を兼ね備えた好例といえます。ぜひこれをきっかけに、気軽に事業を興してみるなど、何かしらの実践に繋がると幸いです。

奨励賞 「防災と地域コミュニティ」

香川大学法学部長 堤 英敬

 外田さん、奨励賞の受賞、おめでとうございます。
 防災においては自助?共助?公助の三助の重要性が説かれますが、本作品はこのうちの「共助」に着目し、衰退が進む地域コミュニティを活性化させることの重要性が論じられています。「地域コミュニティの衰退」が言われるようになって久しいですが、近年、都市部では近所に住んでいる人たちと全く交流がないという人も珍しくありません。また、地方においては高齢化、過疎化が進み、こうした地域では孤立してしまっている高齢者が増えています。こうした状況においては、何か災害が発生した際、地域の人たちが協力してお互いの命を守り、避難生活を送り、復興に取り組んでいくことは難しいと言わざるをえません。
 外田さんは、衰退が進む地域コミュニティの現状を客観的なデータで示した上で、定期的なイベントなどを通じて、住民同士の交流を深め、誰ひとり孤立せず、誰でも活躍できる環境にすることが重要だと論じます。そして、地域コミュニティを活性化させるとともに、防災に役立てるためのイベントとして、①スマートフォンを使ったスタンプラリー、②地域の危険な場所探し、③災害図上訓練、④避難所生活の一日体験を提案しています。
 これらのイベントは具体的で、今日、災害時における主要な情報源となっているスマートフォンを活用している点や、グループのメンバーが協力して行う活動とすることで住民間の相互交流、相互理解を深めようとしている点で工夫が感じられました。また、災害時に備えようとするとき、私たちはとかく個人単位?家族単位で考えがちですが、地域の住民の協力が重要であること、そして住民同士の協力は普段からのコミュニティのあり方にかかっていること、そして、地域コミュニティが衰退してしまっていることを踏まえての考察には、高い洞察力を感じました。今後、こうした洞察力を活かして、次のステージで活躍してくれることを願っています。?

奨励賞 「私たちができること」

香川県情報発信総合参与 木原光治

 東日本大震災の1年前から、ある先生に頼まれて、この香川大で「防災リテラシー」の講座を年1回担当している。テーマは「災害報道」。今年で13年目になる。初めての年の受講生は100人超。それが東日本大震災、熊本地震、能登沖地震などの大災害を経て、今年は300人超の講座になった。
 そこで40数年間、一介の新聞記者だった小生が何を訴えてきたのか。大きくは三つ。「『逃げる勇気』『避難する勇気』を持て」「被災地のリアルを知れ」「自分に何ができるかを考え、行動に移せ」。
 「自助」「公助」「共助」の防災?減災のキーワードを、私のような新聞人が具体的な言葉にするとこうなる。これに合わせて実際の被災地での記者の行動、記事を示しながら、学生たちに災害報道の役割を伝えている。
 中村さんの論文はこの「自助」「公助」「共助」のキーワードを高校生らしい視点で平易な言葉、文章で冷静に分析しているところいい。発生前には「家族としっかり話し合って準備」。発生時には「自分で身体を守る」。いずれも短文で歯切れのいい文章力が素晴らしい。
 最も論点を引き締めているのは「高校生として考えること」。そこで、身につけておくべき3つの能力が秀逸だ。「危機管理能力」「コミュニケーション能力」「情報収集と分析力」。これをどのようにして学び、身に着けていくかもちゃんと書き込んでいる。起承転結の基本もしっかり踏まえ、若い人たちに防災意識、知識を喚起するお手本になる論文。ぜひ学校内外にも伝えてほしい。
 あらためておめでとう中村さん。おじさん、勉強になりました。

奨励賞「紡いで繋がる私たちの未来」

香川県情報発信総合参与 木原光治

 論文の書き出しにあるように、私も浜崎さんと同じように、辞書を引いた。「包摂的って何なん?」。辞書的には「異なる意見や立場、文化や価値観などを受け入れ、調和を図ること」。とあるが、昨年まで新聞記者として、何百、何千の記事、コラムを書いて、この言葉「包摂的」は一度も使ったことがない。なぜか。
 新聞記者を長くやってくると、フラットな視点が自然に身につく。どんな人とも同じ目線、同じ心持ちで話し、語らう。包摂的なことを当たり前と思って仕事をしてきたから、言葉として使う必要がなかったのかもしれない。
 そんな小難しい言葉を10代半ばの浜崎さんが理解し、しかも今も日本社会にはびこる病巣のような「同和問題」と「ハンセン病」を題材にした冒険心にまず感服した。
 「歴史の先生になりたい」というだけあって、二つの重い問題を過去から紐解く論法も説得力がある。そこから差別と偏見を生んだ背景、原因を「悪い誤った情報の広まり」と分析し、「情報を鵜吞みにすることはとても危険」と説く。これは洪水のごとく情報が氾濫し、フェイクに踊らされる現代のSNS社会にも通じる警鐘だ。
 締めもいい。「自分と違う人間から逃げない」「勇気を出して歩み寄る」「世界に目を向ける」。無知からくる偏見や差別に対して立ち向かう言葉に、若々しさが満ちあふれている。グローバルに多様化、複雑化する世相の中で、あなたの視点は光を放つ道しるべと言える。ぜひ多くの人にその心を伝えてください。
 浜崎さんおめでとう。あなたの感性に脱帽です。

奨励賞「こどもの貧困は他人事か」

香川大学法学部長 堤 英敬

 細川さん、奨励賞の受賞、おめでとうございます。
 Bのテーマに対しては、ジェンダー間の不平等や性的マイノリティ、外国籍の人への差別など様々な観点から社会的な包摂について論じた論文が提出されましたが、本作品では、貧困にあえぐ家庭の子どもと親に焦点が当てられています。経済的格差の問題については、「自己責任論」が語られることも少なくありませんが、子どもは親や家庭環境を選ぶことができませんし、母子家庭の親が貧困に陥ってしまうのも社会構造を背景とした部分が少なからずあり、すべてを自己責任に帰すことはできません。高校生にとっても身近なところに、社会から取り残されてしまっている人たちがいることに着眼した点は、高く評価できるでしょう。
 本作品はまず、日本のひとり親家庭、特に母子家庭の相対貧困率は、国際的に見ても非常に高い状態にあることを客観的なデータによって示した上で、貧困家庭の子どもたちが経済的な負担から進学が困難となり、十分な教育機会を得ることができないまま低所得の職に就かざるをえなくなるという、貧困の連鎖が生まれていると指摘します。そして、こうした問題を改善するためには、周囲から見えづらい貧困家庭に支援を確実に届けること、そして、こどもに必要な活動の場を提供することが必要だと主張しています。また、「フードドライブ」(各家庭で余ってしまった食品を持ち寄り、支援を必要としている団体?施設等に寄付する活動)を例に挙げながら、私たちにもできることがあると論じられています。
 論文の構成が整っていることもあって、本作品からは細川さんの子どもの貧困に対する問題意識がとても強く伝わってきました。細川さんは将来、教師を目指しているそうですが、家庭環境や経済環境にかかわらず、すべての子どもに対して手を差し伸べることのできる教師になってくれることを期待しています。

奨励賞「命をつなぐために今私にできること」

香川経済同友会 特別幹事 竹内 麗子

 若林さん、まずは、奨励賞受賞、誠におめでとうございます。
 能登半島大震災から2度目の冬が訪れ、間もなく1年が経とうとしています。
2024年9月には被災地が豪雨に襲われるなど重なる自然災害の非常さの中、今も、復興活動は続いています。若林さんの受賞作品は、近未来において必ず発生するであろう南海トラフ災害について、関東大震災から能登半島大震災までの被災状況を検証し、南海トラフ対策に生かすために、何が重要かを教えてくれました。
 その中でも、予防対策や、1次災害における対処だけでなく、特に重要なのは、被災後、時間の経過ととともに増加する2次災害、3次災害による孤独死問題です。彼女は、2次災害、3次災害対策にきちんと取り組むことが命を守りつなぐことになると説明しています。
 そして、自宅へ帰還できない場合、長期避難生活を余儀なくされます。その際の避難生活は仮設住宅もしくは移転先になり、衣食住だけでなく、十分なコミュニケーションがとれる環境整備が必要です。そのためには、コミュニティ組織の充実、活性化推進が重要です。
 又、参考資料においても、防災白書、会議報告、災害による医療、死因等、多岐に渡って調査分析を行っていることに感心しました。
 孤独死を防ぎ、大切な命を救うためには、地域で、取り組むソーシャルサポートの重要性を、再認識させられました。未来を生きる若林さんを始め、高校生達の、素晴らしい成長と活動に大きな期待とエールを贈ります。

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