地域創生の最前線!観光データ活用で地域活性化を牽引する

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     取材日 2024年12月25日
     Kadai SALON(会報第5号)
     株式会社地域創生Coデザイン研究所
     コンサルティング事業部
     研究主任 リードCoクリエイター
     冨田祐策さん
     (経済学部 2016年卒) 

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『Kadai SALON(会報第5号)』の誌面に掲載しきれなかったインタビュー記事をご紹介します!

現在の仕事内容について教えてください
NTT西日本からの出向という形で、2022年よりグループ会社である「地域創生Coデザイン研究所」に所属しています。当社は、NTT西日本から2021年にスピンオフした会社で、「地域創生を地域でいかに実現するか」をミッションに掲げています。NTTグループとしてのデジタル技術?データ活用のノウハウと、観光振興を組み合わせることで、地域の活性化をめざしています。
主な取り組みとしては、自治体や地域の事業者、観光協会などの皆さまと連携し、デジタル施策の企画?実行や効果検証を行い、観光客の誘致や観光消費額の増加を図り、地域経済への貢献を図っています。拠点は大阪にありますが、私は岡山県在住で、基本的にはリモートワークを活用しながら、週に1回程度大阪へ出社しています。それ以外は広島県をはじめとする瀬戸内エリアを中心に飛び回り、担当エリア全体をサポートしています。

今のような仕事をしたいと思ったきっかけは何ですか?
もともと経済学部出身で、出身地が鹿児島ということもあり、大学時代から漠然と地域課題の解決に興味がありました。就職活動の際、IT?デジタル?通信の力を活用すれば、多岐にわたる地域の課題を解決できると考え、NTT西日本を志望しました。

入社当時から今の仕事をされていたのですか?
入社後の最初の6年間は、民間企業向けのシステム開発や構築といったエンジニア業務を担当していました。当時は自治体向けの地域活性化業務には携わっていなかったのですが、地域課題の解決に関わりたいという想いから手を挙げ、現在の部署に出向することになりました。

廿日市市のプロジェクトはコロナ禍だったのですか?
はい、ちょうどコロナ禍の時期にあたります。NTT西日本と宮島で観光アプリを開発するプロジェクトが進んでおり、私はその後任として2022年に参画しました。現在はアプリ開発から一歩進み、観光データ、クレジットカードの消費データ、宿泊データなどを組み合わせて、施策が地域経済にどのような影響を与えるかを検証し、データを活用した観光振興を推進しています。

効果は出ていますか?
これまで効果検証が十分に行われていなかった自治体も多いため、データを活用し、結果を振り返りながら改善を重ねるというサイクルを確立してきました。地道ではありますが、PDCAを回し続けることで、少しずつ成果が出始めていると感じています。

プロジェクトは長期的なものが多いですか?
はい、廿日市市の事例では2年間の伴走支援を通じて、さまざまな施策に取り組みながらPDCAを回しました。数ヶ月単位の短期集中型というよりも、半年から1年、場合によってはそれ以上のスパンでじっくり進めるケースが多いです。

今、特に力を入れていることは何ですか?
瀬戸内エリア全体を担当しているため、広島県内の他自治体や山口県の自治体とも複数のプロジェクトを並行して進めています。会社としては長崎県の雲仙や奈良県など、さまざまな地域で観光振興の事業を展開しております。

西日本エリアで重視していること、やりたいことはありますか?
最終的には、地域に新たな企業が生まれ、そこで雇用や税収が生まれることが地域活性化のゴールの一つと考えています。今は支援する立場ですが、将来的には自分自身で事業を起こし、地域で商いを展開して外貨を稼ぐような取り組みにも挑戦してみたいと思っています。

社会人になって大切にしていることは何ですか?
コンサルタントとして、常に相手の立場に立ったコミュニケーションを心がけています。専門用語をできるだけ使わず、わかりやすい提案や解決策を提示することを意識しています。また、ただアドバイスをするだけでなく、地域の皆さまと共に考え、共に行動する姿勢を大切にしています。

これからやっていきたいこと、目標はありますか?
廿日市市での成功事例や、大阪観光大学や熊本県のイデアITカレッジ阿蘇で講師を務めた経験を活かし、次世代の観光人材を育成していきたいと考えています。地域で得られたノウハウを横展開し、日本全体の地域活性化に貢献できる仕組みをつくることが目標です。

学生さんの前でどのような刺激がありますか?
社会人を含む受講生に自分の経験や知見を伝えることで、自分自身の活動を改めて整理できるよい機会になっています。地域を良くしたいという熱意を持つ方々と意見交換をすることで、私自身も多くの刺激をいただいています。

香川大学を選んだ理由は何ですか?
地域と国際交流の両方を学びたかったところ、当時は香川大学の地域社会システム学科がそれを同時に学ぶことのできる数少ない国公立大学でした。国際交流とまちづくりの両面に興味があり、かつ自身の学力とも合致していたことから選択しました。

大学では何を学びましたか?
経済学部の地域社会システム学科で、まちづくりや観光を中心に学びました。地域住民とのワークショップを通じた対話型の取り組みを経験し、地域に深く入り込む姿勢やコミュニケーションの大切さを学びました。日本の地域構造や課題に関する学びや、フィールドワークを通じた調整力は、現在の業務で大いに役立っています。

他に大学で学んだことで役に立っていることはありますか?
直島のカフェプロジェクトやNPO法人での活動を通じて、さまざまな世代の方々と協働する力を培いました。学生仲間だけでなく、地域の大人や他大学の学生とも一緒にプロジェクトを進めた経験が、現在の仕事で多様な関係者と議論?協力するうえで非常に活きています。

直島のプロジェクトで後輩にアドバイスはありますか?
私は3、4年生の時はあまり関われなかったのですが、先輩が作った仕組みを維持するだけだと学びが少ないと感じました。カフェ業務に加えて、直島での観光ガイド事業など新たな収益源を模索するといった“多角的なビジネス展開”を意識しておけば、より大きな学びにつながったと思います。

大学時代に印象に残っていることはありますか?
1年生の時に参加した、NPO法人が主催する四国の大学生と社会人が集まって国際交流について考えるイベントです。様々な人の話を聞けて視野が広がり、学校外の活動に参加するきっかけになりました。

香大生にメッセージをお願いします
就職活動で関西や東京の大学生とグループディスカッションをした際、香川大学の学生はスタートがやや遅い印象を受けました。ただ、社会に出ると大学名そのものよりも、実践的な経験や自身の強みに注目されることが多いです。大学の講義だけでなく、アルバイトや学生プロジェクトなど、幅広い挑戦を通じて興味や得意分野を早く見つけると良いと思います。失敗を恐れず、積極的に行動してください。香川県や瀬戸内エリアには魅力的な地域や人々が多くいますので、地域に出て多様な経験を積むことは、今後の人生でも大きな糧となるはずです!

将来の夢を教えてください
少子化や労働人口の減少といった社会課題の解決に貢献したいと考えています。特に次世代の若い世代の皆さんと共に、デジタル技術やAIを活用して、お年寄りや子どもたちが安心して暮らせる地域を全国各地に増やしていくことを目標としています。そんな取り組みを通じて、持続可能な地域社会の形成に寄与していきたいです。